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K::memo


2001年12月05日(水)

宮部みゆき/ 堪忍箱 (新潮文庫)(宮部 みゆき)

少し不思議な8編の時代小説が納められている。どこかのお店や、どこかの長屋でおこる珍事。著者独特のその時代の描写がすばらしく読み込める内容。特に登場する人々が魅力的である。舞台は昔のことだけど、登場する人物たちはそれぞれ考え生きていて、現代の人々と全く変わらない。しかし、どの人にも暖かい部分があり読後にもそういう気分が残る。時代小説だからであろうか。何がそういう気分にさせるのだろう。その時代に生きる貧乏な人々は現代の人よりも苦労して奉公していたりする。地域の暖かさや社会の暖かさという面はあるだろう。まわりの人を思いやる気持ちだろうか。いわゆる都会で、全くの他人に囲まれて生活していると感じられないそういう暖かさが感じられる書物である。

Tags: 読了

2001年12月09日(日)

綿矢りさ / インストール

主人公は高校3年生の朝子。学校でとある会話を契機に登校をやめてしまう。学校に行かなくなっている間に非日常的な体験をする。最終的に彼女は非日常的な体験を通しても、自分自身は変わっていないという事に気づく。

自分という存在をとらえるときに、周りと自分を相対化して比較する事で自分を捉えてしまう事がある。「人と比べない!」とか小さい頃からよく言われたものだ。人と自分を相対的にみているるうちはいいが、周りと自分を同一化して錯覚してしまう事がある。主人公も、自分そのものがわからなくなり、全てを初期化したくなったのかもしれない。しかし、自分自身の本質というものは、以前からも、今もしっかりとそこに在るという事に気づいた。 著者も主人公と同じく17歳。本書は著者自信の心情を映しているという面もあるだろう。この年代だからこそ、こういう機敏な心情を描写出来たのかもしれない。ストーリー、文章表現とも読みやすく楽しめる内容である。

Tags: 読了

2001年12月13日(木)

田中 宇/ タリバン (光文社新書 (003))(田中 宇)

アフガニスタン、アメリカ、パキスタン、ソ連の関係についての歴史や現状が書かれている。この本はニューヨークでおきた9/11のテロを踏まえるとともに、上記4国やもっと遡ったイギリス植民地時代からの歴史にも触れられている。アメリカはテロに対してビンラディンを主犯であると断定し彼を庇護しているタリバンに対して報復措置をとり崩壊させた。著者はこれをアメリカの都合であり価値観の押しつけと位置づけている。 本書を読むことによって、アメリカがアフガニスタンに行った事実をそのまま直視して考える事と、アフガニスタンがこの状態に至った経緯を知る事ができる。タリバンが崩壊した今もブルカを脱がない女性たちがいるという事実は、それを人権侵害としていたアメリカが価値観を押しつけていた事を示しているのかもしれない。自由を尊重するといわれるアメリカがそこまでしてタリバンを崩壊させた理由はどこにあるのかを知る一助となる書物である。

Tags: 読了