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K::memo


2002年01月15日(火)

坂本龍一 監修 / 非戦(坂本龍一/sustainability for peace)

2001/9/11のテロとその後の戦争にまつわるアンソロジー。本書のテーマは、「人を殺さない」、「自分の利益のために生き物を殺さない」、「子供たちの生きる権利を奪わない」である。様々業界の人々による主張やエッセイによって「非戦」が綴られている。

前述のテーマは、一見当たり前のように思える内容であるが、9/11のテロとその後の戦争においてはこのテーマに反する事ばかりが現実に行われている。テロが起こった背景についても述べられている。しかし、それよりもこのような暴力の連鎖をどうすれば止められるのかと言うことに対する考察が主眼となっている。本書はこのように考えるヒントや仕組みを知るという事の手助けとなる書物である。

また、本書にもあるように今回のテロはアメリカなどによるグローバリズムや経済至上主義に対するブローバックであるという主張もある。中東での紛争やテロは宗教や民族紛争に基づいていると考えがちであるが、先進国に対するブローバックであるとするなら、事の仕組みはもっと単純化される。このような負の連鎖を断ち切る努力と、正義とは何かを個人が考えそれに則った行動が大切である。

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2002年01月18日(金)

村上 龍/ アウェーで戦うために―フィジカル・インテンシティ III(村上 龍)

サッカーをテーマに、90年代末の出来事なども交えたエッセー。著者と交流のある中田選手にまつわるヨーロッパのサッカー事情なども書かれている。世界の中の日本という位置づけでの日本的な問題点にも触れられている。

私もサッカーは好きだがそう詳しくはない。サッカーは攻撃失敗の連続と、致命的な1点で試合が決まるという。その攻撃の過程とゴールというカタルシスが魅力であると書かれる。サッカーをじっくり見てみたくなった。

実社会において、攻撃失敗の連続だとかなりしんどいだろう。しかし、攻撃を続ける事は、点数をとるためにはどうすればいいかという対策を考えるだろう。また、工夫もするだろう。守備にまわるのも大切だが、点数を取るには攻撃し続けることが重要だ。また、点数をとらなければ勝つ事はできないということをあらためて気づかされた。 日本的な護送船団な社会では、同列に並んで保守する事が大切に思われているかもしれないが、それが日本を弱体化しているのかもしれない。

Tags: 読了

2002年01月22日(火) ジオラマ

桐野夏生/ ジオラマ (新潮文庫)(桐野 夏生)

ちょっと不思議な話が詰まった短編集。表題作のジオラマは、ある高級マンションに住む銀行員の悲哀が書かれる。小市民的な家庭を構成する主人公は、ある出来事から下の階の女性と交際するようになる。このように、どこにでもあるような日常と非日常の狭間が書かれている。

最近、不景気の影響から失業率が上がり、都市や地方に住所不定無職のいわゆる人々が溢れているという。というドキュメンタリーをテレビで見た。彼らもバブルの頃には仕事をし家族を養っていたんだという。何かの拍子でか、知らず知らずのうちにかそのような日常から非日常の狭間を超えてしまったのだろう。人の周りをとりまく環境というのは、本人の状態と環境のつり合いで決まるようなところもあるが、本人の意思や状態とは関係なくガラリとかわってしまう事もあるのかもしれない。

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2002年01月24日(木)

藤沢周平/ 天保悪党伝 (新潮文庫)(藤沢 周平)

江戸・天保の時代に生きる悪党たちの物語。悪党といってもどの登場人物も魅力的で粋である。強請や盗みを生きる糧にしているが、人情厚くいわゆる弱気を助けるところがある。悪党に対する悪者的な登場人物は、悪党ではないが嫌な御家人ややくざ者である。

それぞれの登場人物を主人公とする短編から構成される。どの話の結末にもほろりと感動させられてしまった。話の暖かみは人のやさしさからくるものだろう。

著者の本を読むのはおそらく初めてだと思うが、読みやすく物語に没頭できた。時代小説自体あまり読まない方だが、宮部みゆき氏や本書のような、庶民側に立った小説は素直におもしろいと感じられる。

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2002年01月30日(水)

宮部みゆき/ とり残されて (文春文庫)(宮部 みゆき)

ミステリーの短編集。幽霊、夢と現実の狭間、時空をテーマにした物語などがあり、SF的な色彩が濃い内容となっている。どの物語もテーマ自体はさほど辛辣な内容ではないといえるが、プロットの組立と語りが冴え引き込まれる内容となっている。

多くを語るとネタをばらす事になるので避けるが、肩があがらない野球選手の物語が特に気に入った。時空を超える意識の強さを幽霊という手段と現実的にこの野球選手がかかえる問題とのリンクに圧倒された。また、この物語の登場人物が善意に基づいて行動しているという点も読後に爽快感が得られたといえる。

この短編集にあるようなSF的なミステリー、特に時空を超える物語が後の「蒲生邸事件」に繋がっていったのだろうか。この分野に関しても著者の今後の作品が期待できる。

Tags: 読了